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株式会社サンパック

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~おじおば人生の学びvol.02~「半引きこもりだった僕が社長になるまで」株式会社サンパック・青山祐二郎社長の場合

「おじおば人生の学び」とは、どんなときも、しなやかに楽しく、自分らしく生きてきた人生の先輩が、自身のキャリアについて講演会形式で語る新シリーズ。第2回ゲストは、株式会社サンパック 代表取締役社長兼CEO 青山祐二郎さん。青山さん自身への質問はもちろん、参加した学生それぞれの悩みや疑問も寄せられた。

インタビュイー

青山祐二郎

青山祐二郎 株式会社サンパック代表取締役社長兼CEO

1970年、大阪生まれ。関西大学商学部卒業後、一般企業に就職。その後、父と兄の経営する会社に入り、経営に尽力。2020年、代表取締役社長に。さまざまな家庭用品の開発・販売をしている。

※肩書・プロフィールは取材当時のもの


僕の家族は会社を経営しており、厳しい家庭でした。幼い末っ子の出来ることも少なく立場はありませんでした。そのせいか幼少期から人見知りでどもりもあり、人との接し方が判りませんでした。

大学にもほとんど通わず半ひきこもり状態。大学3年生のときテストを受けようと思ったものの自分の登録授業がわからず、事務室に聞きに行ったほどです。友達もおらず、充実していない大学生活でした。
 
そうやって自分に自信が持てないまま、将来なにをしていいのかわからず、「なんとなく」一般企業に就職しました。ところが、人と話すのが苦手なのに、配属が営業職だったんです。営業トークができるわけもなく、夕方まで時間をつぶして「契約はとれませんでした」と報告し続けました。

その後、商品開発に異動し、商品の説明なら、少しはしゃべれることに気づきました。でも、結局その会社は辞めて、実家に戻って父の会社に入りました。
 
ところが30歳のとき、父の会社で大きなトラブルが発生して、対応するポジションにいた僕自身も、追い込まれることになりました。裁判沙汰もあり、いっときは会社をつぶして自殺しようかとさえ思い、悩んだんです。

そんなとき、ふとこの状況を知らずに笑いながら話している若い社員を見て「自分が投げたら、この人たちは職を失ってしまう」。そう思い、とどまることができました。そして、どうなるかわからないけれど、とにかく誠実にできることをやっていこうと思えるようになったのです

すると、しゃべるのは下手でも、ちゃんと相手に思いが通じてきた。勇気をふりしぼっていけば道は開け、心を込めた生き方をすれば、乗り越えられると実感できたんです。

実際、振り返ると、僕は最初の就職では人生から逃げていましたでも、父の会社でトラブルの最前線にひっぱり出されて人生と真正面から向かい合いました。苦労はしましたが、人生がずっと楽しくなりました。
 

よく「楽しいのは学生のうちだけ」と言われますが、そんな刷り込みを信じてはいけない。社会人になってからの方が楽しいことがあります。
 
皆さんも、就職する時の悩みが生まれて当然です。仕事の経験はないし、最初はわからないことだらけでしょう。苦労もあるかもしれませんが、誠実に取り組んだことはちゃんと自分に返ってきます。

もし失敗しても、社会人になってからはいくらでも取り返しがつきます。まちがいをしたら変えたらいいだけ。失敗も僕のように、財産になることもある。失敗という財産を多く持った者が勝ち組なんです。
 
それから「100%自分にぴったりの仕事は、まずない」。それだけは覚えておいてください。でも、好きになれない仕事で給料だけもらっているのはつまらないです。

どんな仕事にもおもしろさはあります。街がきれいになったり、お客さんが元気になったり。あなたのする仕事は、回り回って社会のどこかで必ず役に立っているんです。

「ギブ&テイク」という言葉がありますが、僕は「テイク&ギブ」だと思っています。まず「もらう」からこそ、感謝をもって「与えられる」

そして僕たちは、育ててくれた親などから、すでにたくさんもらっています。もらってないとここまで生きてこられない。そこに気づくともう感謝しかありません。それに気づくと、与えることができるようになるんです。

僕は、親からも従業員たちからも、今もたくさんもらっていて、一生かかっても返しきれないほどの「借り」がある。それは幸せな借りです
 
就職はゴールではありません。皆さんも、もらったことに感謝しつつ、人生の幸せを見つけてほしいと思います。
 

青山さんへの一問一答

 
学生: 人見知りがなおったきっかけは?
 
青山: 会社の生き残りをかけ、人見知りなんてしている場合でない状況に追い込まれたことが大きいです。最初の会社でお客さんに商品説明をしたことも役立ちました。
 
学生: 仕事のやりがいは何ですか?
 
青山: 周りの人の笑顔です。従業員にも常に言っていますが、僕はそれで幸せになりますね。
 
学生: ギブ&テイクの話ですが、最近、僕も、もらうことが多いと感じます。どうやって与えてくれた人たちに返していけばいいでしょう?
 
青山: 必ずしも与えた人に返さなくても、別の誰かに返すのでもいい。自分がもらったものを、将来、別の誰かに与えてあげればいいと思います。
 
学生: コンビニのバイト中、何度言っても理解してくれないスタッフがいて困ります。社会に出たらこういうとき、どうしたらいいですか?
 
青山: 粘り強く言うことは、まずあなたにとっていい経験、財産になります。また、会社に入ればスタッフが理解しやすくなるためのさまざまな企業研修もあります。自分の力だけで相手を変えようと思わなくてよいです。
 
学生: コロナ禍で、思うように活動ができてないので就活が不安です。
 
青山: コロナの状況は特殊。採用側も他の学生も同じです。悩むことはありません。人との交流が少ないまま社会人になるのは不安かもしれませんが、堂々と胸をはって「不安です」と言えばいい。ライバルたちも同じ条件です。