サービス・インフラ系 業界でオンリーワン手に職がつく仕事 株式会社ミラノ工務店
新旧の多様な建物がある京都。その「信用」を背負う企業、ミラノ工務店
インタビュイー
松元謙一 工事部工事長
建築専門学校卒業時、左官業を営む父親から勧められて同社へ。入社23年。滋賀県出身の43歳。
谷口大地 工事部
京都美術工芸大学建築学科卒。「いろいろな建築に関わりたいから」新卒入社。兵庫県出身の24歳。
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
京都のランドマークともいうべき建物の施工やリノベーションを手がけるミラノ工務店。信用第一の京都で、長いお付き合いの顧客が多い実力派だ。
創業は1927年、社名は美術物(立派な建物)を心がける願いをこめて、美術建築の都市ミラノの地名にちなみ命名された。以来、硬派な「ものづくり」のDNAを脈々と受け継いでいる。
多彩な建物を、一から造る
入社2年、工事部の谷口大地さんも「多彩な建物を造りたい」とミラノ工務店を選んだ。
「例えば木造とRCでは図面から違う。また、公共建築や、使う人に配慮した福祉施設など個々の技を学び、日々成長させてもらっています」。
建物を一から造れるおもしろさも強みだ。
「学生時代は図面を引くところまでで終わりでした。
でも仕事では実際に図面が形になることに感動します。現在の私の仕事でいえば、図面をもとにコンクリートを注文、体積を読み切り材料の発注数がぴったりだったとき、『勝った!』と誇らしくなります。街を歩いて、他の建物を見ても、自分ならどういう順序で建てるか、素材はなんだろう?と考えます。職人さんたちと力を合わせ、建物が完成したとき湧き上がる歓声が原動力です。」
大手ゼネコンの場合は仕事が分業制ゆえ、自分の持ち場しかさわれない。しかし、ミラノ工務店は、施主の思いから始まる設計、資材、外内装や照明に至るまで一貫して関われるのだ。
昨春、京都御所のすぐ横に完成した同志社幼稚園新校舎も、谷口さんの仕事の一つ。光と風を感じるウッドデッキや木の梁。開放的な空間は、既に文化施設としてのオーラを放っている。
「京都御所になじみながらも、存在感を持たせたかった。お客様に喜んでいただけて、達成感を噛みしめています」。
現場でも、完成後も、人間関係を大切に
人との信頼関係は何より大事にする。「建てて終わり」の建築会社もあるが、その対極をいくのがミラノ工務店だ。
「うちは完成後に新たなお付き合いが始まるんです。電球を替えて欲しいと気軽な電話もある。施工後の安心感もうちのブランド力の一つ。関わった社員もずっと京都にいるのでお客様も安心されるのですね」と話すのは工事部工事長の松元謙一さん。現場では100人の職人を指揮するリーダーだ。
「現場のリーダーとして、100人以上の職人さんたちに的確に指示する力が求められます。平面の『設計図』を、実際と同じく立体的にとらえる『施工図』に落とすのも私の仕事。扉の厚さや天井の高さなども盛り込みます。職人さんと気持ちが共有できるのは最高ですね。竣工間際、タイムリミットが迫ってきたとき、現場の職人が集中して『ゾーン』に入る瞬間がある。一丸となれるチーム作りができたとき、感動を覚えます」。
京都に根ざした働く環境
特筆したいのは仕事の環境だ。大手ゼネコンのような転勤がなく、休日に、家族と自分の関わった建物を見に行くこともできる。ある意味、建築業の理想形だ。
2017年に厚生労働省からユースエール認定企業(若者雇用促進)に選ばれたことも業界では快挙だ。ノー残業デーがあり、連続有給休暇が取れ、離職率も低い。異動がないので、京都に根ざして働ける。
「どこかで新しい建物が立ったら、すぐ見に行ってしまう」、そんな「建築好き」に注目してほしい。