インタビュイー
根来 香糸 物質化学工学科5年
小原 みなも 機械工業科4年
石谷 仁 電子制御工学科3年
山口 紗音 情報工学科2年
顯谷 智也子 奈良工業高等専門学校 電気工学科 准教授 女性エンジニア養成推進センター長 経営管理修士(MBA)
大久保尚容 抱月工業株式会社 代表取締役社長
弓指 利武 抱月工業株式会社 執行役員 CHRO 経営戦略室長
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
環境負荷の少ない電池を開発したい
根来 香糸さん(物質化学工学科5年)
中学の理科の授業で電池に興味をもち、「化学製品の研究開発がしたい!」と入学。驚いたのは「君たちは生徒ではなく学生だ」と15歳で自主性や自立心の大切さを教わったこと。おかげで、勉学もやりたいことも自分で決めてやりとげるおもしろさに目覚めました。今、燃えにくく環境負荷も低い「水とイオン液体でつくる」リチウム電池を研究中。来年、国立大学へ編入し、未来型電池の研究を進めます。
お客さまに喜ばれる機械をつくりたい
小原 みなもさん(機械工業科4年)
幼稚園の頃に「綿をつくる機械」を見て、動く機械に魅せられました。中学の体験入学で、「こんな大きな機械を私も動かしたい!」と憧れて入学。授業では自分たちで考えてものづくりをするのが楽しく、缶をつぶす機械を製図・設計から作りました。実際に学校でみんなに使ってもらえたのがうれしかったですね。進学か就職かで迷いますが、将来はお客さまの夢をかなえ、喜んでもらえる機械をつくりたいです。
課題解決ができる広い視野をもちたい
石谷 仁さん(電子制御工学科3年)
小さい頃から工作好きで、この学校の「ロボットコンテスト」にもよく来ていました。高専は5年間ものづくりができ、電気、機械、制御など学科を超えて学べるのが魅力です。今、取り組んでいるのは走法の改善システム。僕は陸上部なので自分のフォームを動画に撮り、AIで走り方を解析しています。課題に対しどのようにものをつくればいいかがわかる、幅広い視野をもった人になりたいです。
夢は「世界で活躍する人になる!」
山口 紗音さん(情報工学科2年)
パソコンを自在に動かす大人に憧れ、将来は「世界で活躍する人になろう!」と決めました。技術や科学を専門に研究する、奈良高専卒は自分の誇りになります。またプログラミングや電子回路など広く学べ、女性エンジニアを応援する校風です。実際、学生約1,000人のうち1/4もが女性。奈良高専の「しなやかエンジニア教育プログラム」では、技術も感性もチーム力もバランスよく学べるのが楽しいです。まずは目の前のことに全力を尽くし、自分の潜在能力を高めていきたいです。
好奇心のままに学べる環境で豊かな感性と表現力は育つ
奈良県大和郡山市にある奈良高専で2019年に始まった「しなやかエンジニア教育プログラム」。幅広い学びを通して感性と表現力を養い、新しい「モノ・コトづくり」ができる創造的な人材育成を目指している。指導する顯谷智也子先生はこう話す。
「今、求められるのは人の困りごとや要望がわかり、解決に導けるエンジニア。他者とのコミュニケーションや、身近なことに好奇心をもって取り組む体験を大事にしています」。
多彩な講座には外部の専門家も登壇。仏教美術や陶芸、心理学や経済といった「高専らしからぬ」学びもある。小原さんがチャレンジしたのは英語だ。「研究発表を英語で行い、表現の工夫の大切さを学びました」。山口さんは「航空会社のCAの方に礼儀作法を学んだことは、実生活でも役立った」そう。「他大学のプロジェクトにも挑戦させてくれるのがありがたい」と話すのは石谷さん。根来さんはOGエンジニアの講演が印象的だったと振り返る。「大事なのは『他者と協力し成果をあげる協働力』と聞き、今の経験が生きると勇気づけられました」。
共通するのは、参加する学生が自発的になにを学ぶかを決める姿勢だ。プログラムでは「協働力」「表現力」「創造力」、柔軟に考える「柔軟性」、長期的に行動する「持続力」を重視する。創造的な感性と表現力をもつ技術者は、ユニークな課外授業から生まれるのだ。
ミニコラム
仕事も人生も大事なのは好奇心
みなさんが目をキラキラさせ、やりたいことに取り組んでいる姿が素晴らしいです。学校外から専門家を招いての、感性と表現力を磨くためのカリキュラムに深く感銘を受けました(大久保)。
好奇心と熱量に圧倒されました。このまま好奇心を発揮して人生を拓いてほしい。抱月も、みなさんのように力ある若者の好奇心が活かせるような会社にしていきたいです(弓指)。