インタビュアー
早坂 虹汰 京都産業大学3年
山崎 奈波 京都産業大学3年
インタビュイー
西村 貞明 管理本部 人事総務部 マネージャー部長
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
機能美と実用性を仕事着で追求する
株式会社たまゆらは、「働く人が必要とする」ユニフォーム・仕事着の専門商社だ。1965年の創業以来成長を続け、現在は年商60億円のスケールを誇る。大阪・枚方市にある本社を訪れた山崎さんと早坂さん。案内をしてくれたのは、たまゆらで人事を担当する西村貞明さんだ。
まずは売り場のワークウェアの多彩さに目を見張る。世界的デザイナーであるコシノジュンコさんが手がけた仕事着は機能美にあふれている。洋服好きの早坂さんは「つなぎの作業着、カッコイイ。着たら気分が上がりそうです」と話す。
一方で、スーツコーナーでは、就職活動中の山崎さんが驚きの声を上げた。「就職活動のために、とある専門チェーン店でスーツを購入したのですが、上下で3万円以上しました。でも、たまゆらでは1万円以下ですか⁉」。
西村さんは答える。
「これは新入社員の声をもとに開発したスーツです。かつてスーツは弊社で扱っていませんでした。でも、あるとき新入社員が『他店で売られているスーツが高すぎる』と嘆いていた。それを聞いて『スーツも仕事着だ』とビジネスチャンスに気づけたのです」。
たまゆらが得意とする建築業界の仕事着では、動きやすさ・着心地のよさ・丈夫さといった実用性を重視し、素材や縫製に活かされている。「このノウハウを、ビジネスマンの仕事着であるスーツに応用する」と発想。その結果、伸縮性と防水性に優れ、自宅で丸洗いができる高機能スーツの、小売価格で上下セット1万円以下での販売を実現した。このスーツは、たまゆらのものづくりの姿勢を示している。
ユニフォームで働く環境、ひいては社会を変えたい
また、たまゆらは法人営業、店舗、EC(オンライン)事業の3つの販売チャネルをもつ。法人営業では、地元ほか全国の企業に45万着ものユニフォームや白衣を販売している。全国に展開する多くの企業が、たまゆらのユニフォームを採用している。
「ユニフォームには役割が2つあります」と西村さん。ひとつはコンビニの制服のように企業ブランドやスタッフ・アイデンティティを示すため。もうひとつは働く人の安全を守ること。たとえば高速道路の作業ユニフォームは蛍光色で目立たせ、建築現場の仕事着は動きやすさや防寒・熱中症などへのあらゆる配慮がなされている。
「安全性と機能性を備えたユニフォームは建設や保全工事、輸送や医療など社会インフラを支えるウェアのため、需要は続くでしょう」。
山崎さんが今後の展望について尋ねた。それに対して「ユニフォームを通じて、働く環境や社会をよりよくしたいと考えています」と西村さん。
「仕事の主役は人です。優れた仕事着なら、働くモチベーションや団結力も上がり、職場の活性化や業績向上につながる。そんな感動と喜びを提供する企業を目指しています」。
さらに、たまゆらは自然環境にも配慮した事業企画を考えている。近年、よしずや茅ぶき屋根などの需要が減少し、淀川水系や琵琶湖のヨシが放置される状況があり、刈って燃やしてもCO2が排出される。それに対して、ヨシを活用して生地をつくった。これは、大阪・関西万博の一部のユニフォームの生地に採用されて話題を呼んだ。
他にもさまざまなプロジェクトを手がけるたまゆら。訪問を通じて、普段見かけるユニフォームの奥深さと、成長の理由に気づき、学生たちは新たな目線を得ることができた。
『FASTNER.』の学生が発見。
訪問してわかった「たまゆら」のスゴさ
ココがスゴイ!
「すぐほしい」に応える100種類の手袋
倉庫内の100種類もの仕事用手袋に圧倒されました。用途でお客さまの必要とする手袋が異なること。また「仕事で欠かせない。すぐ代わりを」の要望に応えること。何より顧客ニーズに耳を傾け、安心と信頼感を獲得する、まさに仕事の本質を学ぶことができました。
ココがスゴイ!
社員の声から生まれた1万円以下のスーツ
スーツが上下で9,878円(税込)、それが社員の声により製品化されたと聞いて、柔軟に新しい声を取り入れていく姿勢に感銘を受けました。社内の風通しのよさ、上司と社員の距離の近さがわかり、成長する会社の秘密を知ることができました。
FASTNER.とは
2011年に創刊した、京都の楽しみ方を学生目線で提案するフリーマガジン。