職人という生き方Vol.9 岡山科学技術専門学校の整備士の卵たち
インタビュアー
テー モン ウー 二級自動車工学科1年
ミャンマー出身。機械好きで地元の大学で機械工学を学んだ後、自動車整備士を目指して昨年4月に来日。日本語は大学1年のときから勉強し、流暢に話しながら授業に励む。
河村 諒也 二級自動車工学科1年
広島県出身。カーディーラー就職を目指し大学進学。コロナ禍のリモート授業の傍ら、整備会社でアルバイトをし、自動車整備士に憧れる。資格を取るため、大学卒業後に入学。
有本 流空 二級自動車工学科1年
岡山県出身。子どもの頃にオーストラリアのカーアクション映画「マッドマックス」を観て、車やバイクに憧れる。「岡山科学技術専門学校は実習が充実」と聞き、迷わず進学。
石井 颯太 一級自動車工学研究科1年
岡山県出身。幼い頃、親の車検で自動車整備工場を訪れ、車が持ち上がる様子にワクワク。中学の時、岡山トヨタで整備士を体験し、オープンキャンパスを見て入学。
インタビュイー
浪江 呂和
トヨタカローラ京都の採用担当。
平岡 俊弥
トヨタカローラ京都の整備士。この道20年のベテラン。
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
職人を目指す4人の生徒たち
テー モン ウーさん(二級自動車工学科1年)
機械を見るとワクワクする子どもでした。ミャンマーも理系女子は少数派。でも迷わず大学の機械工学科へ。先生に「機械なら日本」と言われ、日本語の勉強も。日本の雑誌で紹介されていた整備士の写真を見て、この道を選びました。シャーシ(車の構造)を学ぶ授業が少し難しいですが、エンジンの動き方を理解していくのが楽しいです。今後は1級整備士の資格も取得し、まずは日本で自動車整備士として働きたいです。

河村 諒也さん(二級自動車工学科1年)
幼い頃、母が勤務する自動車関連会社の車を見るのが好きで、敷地でよく遊んでいました。カーディーラー就職を目指して大学へ。コロナ禍と重なりましたが、車検や板金のアルバイトと両立できて、満足の毎日でした。整備士にも興味をもち、この学校に入学。車の仕組みや整備を一から学ぶ授業がおもしろく、年齢も国籍も経験も異なる仲間と意見を交わしながら学べる環境も魅力です。将来は販売も整備もできる二刀流を目指します。

有本 流空さん(二級自動車工学科1年)
小さい頃は叔父の車のドライブで大はしゃぎ、大きくなってからは親のバイクのタイヤ交換をさせてもらうなど、とにかくメカに触れるのが好きでした。いま自分のバイクの消耗品交換は全て手がけています。実習は分解や計測など、先生が親身に教えてくださるのでとても楽しいですね。好きなのはエンジン。ディーゼルを含め、造形も音も匂いも好き。将来はあらゆる知識をもち、お客さまの要望にすぐに応えられる整備士になりたいです。

石井 颯太さん(一級自動車工学研究科1年)
高校は商業科へ。でも中学のときの整備士体験のおもしろさが忘れられず、卒業後に入学。一級自動車工学研究科を選んだのは、電気やハイリッド、水素などさまざまに進化する自動車を詳しく学びたかったからです。一番楽しいのは自分が分解したエンジンを再度組み立て、無事エンジンがかかったとき。将来は迅速に作業することはもちろん、正確な作業を重点的に学び、お客さまに頼りにされる整備士になりたいです。
岡山科学技術専門学校の学生たちが整備士の先輩に聞いた!
Q 就職後はどのようにキャリアアップできますか?
平岡:自動車整備士は、働きながらさまざまなキャリアアップが図れます。整備士のスペシャリストを目指す、あるいは店長や工場長など役職者になる道もあります。
私はスペシャリストになりたいと、就職時の2級自動車整備士から、勉強して1級資格を取得しました。またトヨタの場合独自のトヨタ技術検定試験(1〜4級)があります。いずれも非常に難しく、とくにトヨタ整備士の最高峰である「TOP CREW」に認定されるのはトヨタ全体でもごく少数。猛勉強を重ね、私もその一人になることができました。
資格を得れば給与も上がります。他にも自動車検査員などキャリアの選択肢はたくさんありますので、どんどんチャレンジしてください。
Q 自動車整備士として大切にしていることは何ですか?
平岡:第一に安全です。そしてカッコよく働くこと。入社当時、仕事が迅速で、正確、安全で、「洗練された動きをする」先輩に憧れました。その姿が目標です。また、整備士はチーム仕事のため、仲間で助け合うことも大事です。
Q 何でもできる整備士になるには、何年ぐらいかかりますか?
平岡:働くうちにある程度はできるようになります。ただ、「何年で完璧」とは言えないのが整備士の仕事です。なぜなら車は日々進化し、ベテランになっても知らないことが出てくるからです。最新技術を保有するために常に学び、メーカーや同僚、お客さまの話に耳を傾けて自分を更新し続ける。だからこそ自分も成長でき、時代の最先端を走ることができる。整備士のおもしろさは、そこにあります。