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社会福祉法人 南山城学園

想像超えの福祉法人 vol.1 南山城学園×サードプレイス

京都府南部を中心に約40の施設を運営、本年創立60周年を迎える、社会福祉法人南山城学園。今回は景観設計学を学ぶ学生ナビゲーター2人が訪問、「サードプレイス」をキーワードに取材した。

インタビュアー

指宿 滉明さん 京都大学大学院 工学研究科社会基盤工学専攻 景観設計学分野1年

山本 裕さん 京都大学大学院 工学研究科社会基盤工学専攻 景観設計学分野1年

インタビュイー

吉村 佳奈子 法人本部事務局 企画広報課

今後 芙泉 法人本部事務局 企画広報課

岡崎 貴志 法人本部事務局 理事長補佐

佐々木 明子

佐々木 明子 法人本部事務局 企画広報課 課長補佐

※肩書・プロフィールは取材当時のもの


サードプレイスよりも大切なのは「ファーストプレイス」

山本さんと指宿さんは地域づくりに関心があり、京都駅でサードプレイス(家でも学校や職場でもない、居心地がよくリラックスできる第三の場所)を考えるイベントを実施している。「人と人が地域でつながるために、どんな視点が必要なのかを知りたい」という2人が訪れたのは、京都府城陽市で障害者支援施設などを運営する南山城学園。門を抜けると、芝生のある広場や庭園を囲むように、利用者さんが暮らす建物や通所施設、作業所が点在。散歩や作業をする利用者さんたちに「こんにちは」と挨拶をしながら、敷地内を歩いた。

「家庭的で温かみのある雰囲気です。利用者さんたちにとって、居心地がよさそうですね」と、山本さん。

岡崎さんは「その通り。家でも学校・職場でもない第三の居場所=サードプレイスも大切ですが、それ以前に、私たちは最も大切な日常の暮らしを第一と考えています。利用者さんにとって、南山城学園はファーストプレイスです」。

建築や内装、庭園などのデザインが優れているのは、利用者さんが心地よく過ごせ、施設で働く職員も誇り高い心持ちで働けるようにというねらいがあるのだそう。

一方で、敷地内の歯科は在宅で障害のある方も利用でき、館内ホールの貸し出しなど地域に開かれている。3店舗あるカフェのランチは、障害のある方が作った野菜をたっぷり使う。佐々木さんは語る。「カフェは社会福祉法人の運営だと大々的には広報していません。障害の有無、老若男女問わず人が集う場にしたい。当事者の作品展示や販売、絵本カフェなどの実施で新たな縁も生まれ、まさに “サードプレイス"になっています」。

障害がある人が地域を"支える"存在になる

数十年前まで、景観設計学の研究では、人々の交流を活性化させるには、「公民館や交流施設を作れば良い」とされていた。しかし、近年は「建物を作るだけでは不完全。しっかりとした社会基盤と持続可能なコミュニティづくりが欠かせない」といわれている。指宿さんは「誰ひとり取り残さない社会の実現のために、福祉施設は不可欠。ですが、地域からの反対はないのでしょうか」と疑問を投げかけた。

岡崎さんは「反対される方は、福祉施設をよく知らないという場合がほとんど。座談会で住民のみなさんと話したり、行政とどのように連携しているかを説明したり、実際に見学してもらったり。そのようにして、地域と良好な関係を築いています」。

さらに、南山城学園は地域を支える活動に積極的だ。地元産業の茶畑を覆うすだれや、半導体の製造、公園整備など、利用者さんが多岐にわたって地域に関わる。他にも法人として、介護教室や小学校での福祉講座、マルシェなどさまざまな行事を開催。それらの活動は自治体や大学、企業、地元グループとも協業し、社会貢献の可能性を広げている。

「障害がある人は"支えられる"存在。そんな先入観をもつ人も多いです。でも、その考えの背景にある社会課題を解決すると、障害がある人が地域を"支える"存在になれる」と岡崎さん。

コミュニティには2種類がある。ひとつは地域にゆかりのある人たちが集まる「地縁型」。もうひとつは、共通の趣味などでつながり自己実現を求める「テーマ型」。「南山城学園は地縁型とテーマ型の複合型。多様な関係性が生まれやすいですね」と、指宿さんは分析した。

公共の場をつくるのために声なき人の意見をすくい取りたい

見学を終え、山本さんは「社会には多様な人がいる。そう考えると福祉は特定の誰かのためのものではなく、社会全体のためにある。これまでの自分は、この福祉の概念がすっぽりと抜け落ちていたと反省しました」。

指宿さんは「まちづくりをテーマにしたワークショップを開催しても、属性の似た人が集まることに課題を感じていました。声をあげられない人の存在を意識し、誰もが使いやすい公共の場をつくるために、いろんな角度からの意見を聞けるように工夫したい」と、学びにつなげた。

南山城学園は「地域における公益的な取組」に積極的だ。毎年秋には地域住民が集まる「彩雲祭」を開催。
「自分たちは土木系の学部なので、国土交通省の資料はよく読むんですが」と山本さん。岡崎さんは「福祉は厚生労働省の管籍なんです」。所属する学部と縦割り組織を超えて、コミュニティのあり方を考える必要性を感じた一幕だ。
南山城学園の建物のひとつ、彩雲館。「まるで礼拝堂のよう、と言われることもあります」と佐々木さん。

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