サービス・インフラ系 社員が個性的アイデアが光る仕事人に会うのが楽しい 社会福祉法人南山城学園
南山城学園×主体性の育て方 想像超えの福祉法人 vol.6
インタビュアー

宮田さん 京都女子大学 発達教育学部教育学科2年

稲村さん 京都女子大学 文学部2年
インタビュイー

山﨑 里美さん もりの詩保育園 園長

石堂 知世さん もりの詩保育園 主任
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
主体性を育む「異年齢保育」
小学校教諭を目指す宮田さんには、気になっていることがあった。自身が姉に憧れ、行動を真似て育ったため、「自分には主体性がない」と感じてきたのだ。「主体性はどう育つのですか」と園長の山﨑里美さんに問いかけた。
まず山﨑さんが挙げたひとつ目の取り組みが「異年齢保育」だ。2~5歳児が同じ空間を共有し、遊びや絵本読み、散歩、食事や配膳などの活動にも一緒に取り組む。年上の子がお手本になり、年下の子が憧れて真似をする。いまは一人っ子も増え、きょうだいがいない子も多い。異年齢保育はその環境を園の中につくる試みだ。
「『自分もやりたい』と思い行動することが、主体性です。宮田さんがお姉さんに憧れて真似をして育ったとしても、その憧れるという気持ちこそが主体性。だから、十分育っていると私は思いますよ」と山﨑さん。
その言葉に、宮田さんの表情がほぐれた。主任の石堂知世さんは続ける。
「2~3歳児は5歳児と同じようにはできません。でも失敗を重ねながら『できた』にたどり着く。それが主体性、ひいては自己肯定感も育みます」。
「主体性は、もっと特別なものだと思っていました」と、宮田さんは認識を新たにした。
なぜ? をかたちにする「プロジェクト保育」
保育園のもうひとつのユニークな取り組みが「プロジェクト保育」だ。毎朝10分、2~5歳児が集まって、「今日なにする?」について自分たちで意見を出し合う。そして「やってみたい」の声からその日の活動を決めていく。
稲村さんには、気になっていた経験があった。高校時代、みんなの前で意見を言えない人をどうまとめればいいか、悩んだのだ。主体性を引き出したくても、発言しない人がいる。
「意見を言わない子には、どうアプローチするのですか?」という問いに対して、石堂さんは「無理に当てて発言を引き出すのではなく、その子と対話をするのです」と答えた。
時間内に発言しなかった子には、後で保育士が個別にその子の意見を聞く。夕方の振り返りの場で「こんな提案もあったよ」と、本人の代わりにみんなの前で保育士が発表する。本人にとっては意見を尊重してもらえたと感じる。その提案が「おもしろそう」と翌日の活動に採用されることもある。そうした経験の積み重ねが、「自分もみんなの前で意見を言っていいんだ」という自信を育むことにつながる。
「対話から生まれる信頼関係が、心をひらかせる。それを代弁してあげる方法もあるんですね。高校のときの私がこの考え方を知っていたら、もっと仲間の主体性を引き出せたかもしれません」と稲村さんは振り返った。



主体性の土台を育てて小学校につなぐ
見学をしたその日の活動は「玉ねぎの皮むき」。大切にするのは結果よりプロセスだ。うまくできなくても、自分でやってみることに意味がある。
自分でやってみる精神は、お昼のセルフバイキングにも貫かれている。食べたい量を自分で選び、トレーに載せて自分で運ぶ。「子どもにとってトレーを両手で運ぶのは意外と難しい。この動作で体幹も鍛えられるのです」と石堂さん。思うように自分で動ける体づくりも、主体性の土台なのだ。
もりの詩保育園では主体性の土台として、自分の言葉で話すことや、身体の軸を鍛えることを大切にしている。「それが小学校生活を楽しむベースになるのです」と山﨑さんは話す。
今回の訪問は、教育者を目指す学生2人にとって大きな発見があった。「保育園での体験が小学校生活のベースになるんですね」と宮田さん。稲村さんは「主体性は特別なものじゃなく、日常のなかで育つと気づきました」。そして主体性を考えることは、学生たちにとって自分自身を見つめ直す時間でもあった。



