インタビュイー
伊藤 風太 グローバルマーケティンググループ主任 入社8年目
F METHOD を考案
関西学院大学経済学部を卒業後、環境・エネルギーを学ぶためフィンランドのタンペレ大学大学院に進学。福井製作所では国内・海外のユーザー向けの営業を担当。「当社はLNGやLPG貨物船でのシェア率は高いけれど、陸上分野はまだ伸び代がある。展示会では関係性をイチから作り、ビジネスにつなげるおもしろさがあります」。カーボンニュートラル社会の実現を見据え、液化水素·CCTUS(二酸化炭素の回収・運搬・利用・貯留)・アンモニアなど新工ネルギー分野での新規顧客開拓、マーケティング活動に邁進中。
出口 湧 グローバルマーケティンググループ 入社2年目
関西外国語大学英米語学科時代、キャリア教育の授業で福井製作所の社長がスケッチブックを片手に熱弁をふるう姿に感動したことと、英語を使える仕事に魅力を感じたことで入社を決めた。今年8月、アメリカ・ヒューストンでの展示会では「F Method」を実践。「海外メーカーの反応が良く、手応えを感じました。福井製作所の製品とサービスをもっと海外に広められるよう、知識と経験を積んでいきたいと思っています」。
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
福井製作所の安全弁が使われているのは、発電所や採掘、液化設備、LNG(液化天然ガス)運搬船、LNG受入基地の天然ガスサプライチェーンのほか、水素燃料船、液化水素運搬船、液化C02運搬船、バイオマス、メタンハイドレートといった新エネルギー分野。LNG運搬船用安全弁は世界シェア90%以上を誇っている。
福井製作所は新規取引先に出会うべく、国内外で開催される「展示会」に毎年6回ほど参加(出展またはビジター参加)する。展示会の重要性については左ページにまとめた通りだが、それぞれの企業への接触方法を明確化しなければ、営業成果は出ないと、若手リーダーの伊藤さんは気づいた。
そこで過去の展示会での反省点を整理し、各社の現在携わる事業をリサーチして話題を準備し、当日の流れをシミュレーション、アフターフォロー方法までまとめた「F Method」を独自に考案。社内でプレゼンしたところ、社長や上司が「これはいい!」と採用に。3ヶ月後の展示会から営業メンバー全員で実践することになった。
「F Method」が優れているのは、展示会ではブースで待つこと(=守り)が中心になりがちなところを、会場を回って情報収集や営業をする側(=攻め)に転じることができることだ。
「『F Method』を取り入れてから、会場内を効率的に動き、キーパーソンとの商談に進めるようになりました」と伊藤さん。
福井製作所は、伊藤さんのような若手の声をしっかりと聞き、創意工夫を認める社風がある会社だ。今回紹介した「F Method」のように、自分の意見が尊重される職場で働きたい、世界で仕事をしてみたいという人はぜひ注目してほしい。
コラム
守って攻める戦場——
それが展示会だ!
展示会とは、その業界の企業が一堂に会し、新製品や技術を紹介する場だ。通常は数百社程度、国際的な規模になると、1千社以上の企業が展示ブースを構えることも。そのにぎわいはまるで戦場。限られた期間で展示会を把握するには戦略が必要となる。
初参加を「広い会場で数万人が集まるので、雰囲気に圧倒されて動けなかった」(伊藤さん)「話を準備しておらず、マッチングの機会を逃した」(出口さん)と2人は振り返る。
反省を活かし、「守り」でブースに人員を置きながら、「攻め」で事前の情報収集に基づきキーパーソンに売り込みをかける「F Method」が生まれた。