サービス・インフラ系 アイデアが光る仕事人に会うのが楽しい 株式会社Fujitaka
Fujitaka 大学レポート グリーンインフラを研究する
インタビュアー

菊田 資士さん 株式会社 Fujitaka 取締役 店舗事業本部長

西田 貴明さん 京都產業大学 生命科学部 産業生命科学科 教授

奥戸 祐貴さん 学部4年
高山植物への登山者の意識変容を研究。「侵入禁止看板」やロープを張るといった規制ではなく、行動経済学のナッジ理論(罰則を用いずに人々の行動を導く手法)を用いて、人々の自然愛護の意識を高める仕掛けを考案中。

植平 隆暉さん 修士2年
生物の多様性を研究。今年は三重県藤原岳の山道にカメラを10カ所設置し、シカの相対密度を調査。「花の百名山」でもある藤原岳の希少な植物を守る対策やアプローチ方法を議論するためにデータを集積中。

富岡 瑠加さん 修士2年
国税として1人毎年1000円払っている「森林環境譲与税」の使われ方に注目。間伐や人材育成がその主な用途とされるが、その妥当性を研究する。「グリーンインフラを推進するような、使われ方になってほしいです」。

三鬼 裕泰郎さん 修士1年
生態系保全を専門職と一般市民が一緒に行う未来を目指して、スマホアプリを使った、市民の意識変容の研究をしている。アプリ開発には情報理工学部とも協働。「意識はあっても行動につながらない、を変える挑戦をしています」。
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
自然と人に関する問題、解決策としてのグリーンインフラ
株式会社Fujitakaは、飲食店の券売機やテーマバーク施設の入退場ゲート機、商店街のアーケードなど商業・公共空間をプロデュースする「ものづくり」の総合商社だ。木造建築のコインランドリーや太陽光発電などSDGsに配慮した製品も扱い、環境事業に造詣が深い。株式会社Fujitakaからは菊田さん、安原さん、竹鼻さんの3人が研究室を訪問、西田先生と学生4人が迎えた。
西田先生はグリーンインフラ(コラム参照)についてこう話す。
「いま全国的に過疎化による森林の荒廃、農地の放棄、頻発する豪雨災害など、自然と人に関するさまざまな問題が起きています。その解決策として注目されるのが、自然の機能を活用した環境整備や土地利用を考えるグリーンインフラ政策です」。
西田先生の経歴は異色だ。京都大学大学院で生態学を研究し、博士号を取得。卒業後は大手銀行のシンクタンク(政策立案や提言をする専門機関)で10年勤めたのちに、研究者となった。だからこそ、西田研究室では生命科学・生態学という理系分野と、経済・政策学の要素を掛け合わせたフィールドワークを重視している。
いま、西田研究室で力を入れているのが「いなベグリーンインフラプロジェクト」。包括連携協定を結んだ三重県いなべ市で、2023年から始まった。学生たちは、各々分担するテーマ(インタビュイー紹介欄参照)を調査するために、ほぼ毎週いなべ市を訪れている。
菊田さんは「グリーンインフラという着眼に、ビジネスの可能性を感じる。机上の空論に終わらず、既に自治体とともに進められている点に説得力を感じました」と絶賛。
西田先生は「取り組みを持続可能にするためには、経済・市場の視点が不可欠です。現在は生物多様性の保全のための調査段階ですが、社会実装を先導、社会課題を解決していきたい」と意気込みを語る。
ドローンは研究・実施にも役立つ
西田研究室では、今年は山岳調査のためにドローンを3機購入したが、まだ活用しきれていないと話す。
それに対して株式会社Fujitakaは、5年前から「ドローンパイロットスクール」を運営、飛行講習ほか、測量や物流、農業、建築土木、防災といったドローン事業の実演や業務も請負う。菊田さんは話す。
「深い山や高いビルなど、人が行くことが難しい空間を撮影し、物資運搬など人力軽減にも大きな力を発揮するのがドローンです」。
同席した株式会社Fujitakaの竹鼻さんは、ドローン事業課主任・スクールの教官だ。太陽光発電のメンテナンスにもドローンが活用されている実績を紹介する。
修士課程に在籍する植平さんは、自分が中心となるプロジェクトで、山中のシカの動きを赤外線カメラで定点観測していると話す。現在、その機材を山頂まで運ぶのは人力。ドローンを物資運搬に役立てたいと目を輝かせる。
菊田さんはこう話す。
「西田先生のお話で、グリーンインフラという、ワクワクするような事業モデルのヒントをいただいた。次回はぜひ弊社のドローンスクールでの体験を、研究に役立てていただきたいです」。

【前列左から】奥戸さん、三鬼さん、植平さん
コラム
グリーンインフラとは
グリーンインフラとは、自然が持つ多様な機能を賢く利用することで、持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラ(社会)や土地利用計画のこと。
発祥はヨーロッパ。少子化や過疎化などで荒廃する地域を、グリーンインフラ政策で持続可能な地域にすることで、防災や減災、自然環境の保全といった社会問題の解決を図ることを目指し、国土交通省が後押ししている。


