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株式会社もり

株式会社もり

京つけもの「もり」がおもしろい!後編 ~地域で愛され、全国・世界へ。~

価値観が変化し続ける時代 を生き抜き、成長を続ける京都の漬物屋「京つけもの もり」。後編は4つのキーワードから「もり」の強さを読み解く。2代目社長の森義治さんと、その息子で取締役の知史さんに話を伺った。

インタビュイー

森 義治

森 義治 株式会社もり 代表取締役

2代目社長となった現在も、早朝から自社農場で作業することもしばしば。

森 知史

森 知史 株式会社もり 取締役

大学卒業後、京都の種苗会社を経て、入社。「父親からは、地元のお客さんと社員たちを大切にすべしと教わりました。手を動かしながら頭を働かせ、次のアイデアの種を育てています。

※肩書・プロフィールは取材当時のもの


予測不能な時代を生き抜くチャレンジ精神

今は、「未来の予測が困難」と皆が言う時代だ。そこで注目したいのが、「京つけものもり」の社長である森義治さんの言葉。「予測不能な時代というけれど、なにが成功するかわからないのは過去も同じ。今に始まったことではありません」。その言葉には、挑戦をし続けた者が成功できるという実感が込められている。

 1962年、「もり」は右京区太秦の小さな漬物店からスタートした。お湯をかけて食べる乾燥漬物などユニークな商品を次々と開発、1980年代に京都の漬物店の中でいち早く観光客をターゲットにすることに成功する。義治さんはうまくいった挑戦だけではなく、軌道修正を余儀なくされたこともある、と振り返る。

 「それでも大切なのは、挑戦をやめないことです。創業以来、業績がいいときもその状態に甘んじず、チャレンジ 精神を貫いてきました。実際、挑戦には厳しさもあるけれど、楽しさもありますよ」と義治さん。

 現在の年商は約9億円。16の直営店舗を運営し、着実に業績を伸ばしてきた。予測が難しい時代を生き抜くヒントは、挑戦をし続けることを楽しめる姿勢にあるのだろう。

京都での 「地産地消」を実行

仕入れた野菜を材料にして、「自家製」を謳う漬物店は多い。もちろんそれでも自家製ではあるのだが、「もり」 は本格的だ。京都府亀岡市にある自社農場で野菜を栽培し、漬物を作っているのだ。京都の漬物企業で5本の指に入る規模ながら、約6千坪の自社農場を有するほど本気の会社は珍しい。

さらに特筆すべきは、最も念頭におく消費者が、地元の人たちということ。京都で採れた野菜を京都で漬ける。その漬物を、京都の人が毎日食べる。「もり」は、究極の地産地消を実践しているのだ。

京都に来る観光客は、そんな「京都人が食す「もり」の漬物を、おみやげにすることになる。「京都みやげ」のなかには、京都の人が食べたことのないものも少なくない。「観光地のみやげは一期一会」だと軽視する業者も多いが、「もり」の漬物は地元人が日常に味わう、正真正銘の京みやげだ。

「その土地ならではの品を持ち帰る『みやげの本質』を大切にしたい」と取締役の森知史さんは熱を込める。

生産、流通、販売の自社一貫体制で「理想的な漬物づくり」

「もり」では、農場での土づくり、野菜栽培、漬物の開発や製造、販売店への配達、直営店運営まですべての過程を社内で完結させる、自社一貫体制を大切にしている。

「社員は、畑も、製造工程も、お客さんの顔も自分の目で見るチャンスがある。だから、世の中の動きやニーズを肌で感じられる。商品や店舗づくりの提案力が高いんです」と義治さん。

 そんな自社一貫体制の中で、近年は農薬や化学肥料をなるべく使わない緑肥農法にも着目し、挑戦を続けている。しかし、化学肥料を減らすと、土壌管理が大変で害虫がつきやすく、味も大きさも不揃いが多い。収穫量を増やすのも大変だ。

「無農薬野菜は、形や数を揃えて、おいしく作るのはとにかく難しい。幸い、当社は早期に自社農場での栽培を始めたので、地元の協力農家も多く、知識も得やすい立場にあります。他社がすぐには真似ができない、知見の積み重ねがあります」と知史さん。

理想論で終わらせず、まずは土に向き合うことから実践する。これこそが、「もり」の強さなのだ。

「健康食」として漬物の可能性を追求

 コメの個人消費減少、漬物を食べてきた層の高齢化、減塩ブームと、漬物をとりまく、日本の食事情は大きく変わりつつある。そんな背景から、「健康に良い」「食の多様化に対応」という軸からも、義治さん・知史さん親子はさまざまな商品を開発している。

まず、塩分が高いとされてきた、昔ながらの「ぬか漬け」には、血圧が上がりにくいGABA(γ-アミノ酸)が含まれていることを、産学連携で発見。機能性表示食品として商標を取得し、ブランドとして販売している。さらに、「もり」の「減塩シリーズ」という漬物は、国立循環器病研究センターが循環器病予防のために取り組む「かるしおプロジェクト」の商品として認定。漬物では初めてのことだ。「健康によくて、おいしいお漬物がある。そんなイメージを、きちんと定着させていきたいですね」と知史さん。

新たな動きとして、若者向けに、和洋を組み合わせた「京都おりーぶ」「京ぴくるす」を開発。食べやすく、パッケージもおしゃれな商品だ。これらはすべて、「日本人にもっとおいしい漬物を食べてほしい」という想いから生まれたものだ。健康志向、ベジタリアン、トレンドに敏感な人など、多様な人に向けて、未来の「食」を提案する。積極的な提案ができて誠実。そんな京都の企業が「もり」なのだ。

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