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株式会社特発三協製作所

株式会社特発三協製作所

特発三協製作所を訪問してわかった、日本のものづくりってすごい! ~FROM VIETNAM~

自動車やロボットアーム、ガス給湯器など精密機器に使われる金属部品「薄板ばね」を専門に製造する特発三協製作所。今回は、日本で就職を希望しているベトナム人留学生3名が会社訪問。「高い技術をどうやって得たのか?」「社員はどのように成長できるのか?」を聞いた。

インタビュアー

ファン・ヴァン・ニュー

ファン・ヴァン・ニュー 関西国際大学 経営学部 経営学科1年

ヴァン・ティ・フォン

ヴァン・ティ・フォン 関西国際大学 経営学部 経営学科1年

グエン・ティ・チャン

グエン・ティ・チャン 関西国際大学 経営学部 経営学科1年

インタビュイー

片谷 勉

片谷 勉 社長

池田 忠史

池田 忠史 技術チーム 主任

宮﨑 佳周

宮﨑 佳周 営業チーム 主任

※肩書・プロフィールは取材当時のもの


「ものづくり」を支える高い技術

創業68年、薄板ばねの「試作・開発」「金型製作」「量産加工」を手掛ける特発三協製作所。技術力の高さに定評がある業界トップクラスのものづくり企業で、日本の経済・社会を支えるものづくり現場を学ぶために世界各国から視察団も多数訪れている。取引企業は数百社。各メーカーから「こんな機能をもつ商品に使いたい」という依頼を受け、オーダーメイドで薄板ばねを開発・製造している。

ベトナムからの留学生3人が訪れたのは、試作室。薄い金属板を加工する技術はすべて自社オリジナルで、さまざまな機械を使い、データを取りながら試作作業が行われていた。

「一人前の職人になるまでどれくらいの期間がかかりますか」というニューさんの質問に、「金属板を単純に曲げるだけなら半年くらい。しかし材料力学や熱伝導などを勉強したり、新しい技術を開発したりもするため、技術習得にゴールはありません。一生かけて取り組める仕事です」と、技術チームの池田さん。

営業チームの宮﨑さんは「薄板ばねは、用途ごとに形や大きさが異なります。同じように見えるかもしれませんが、0.01ミリ違うだけで速度や音、クッション性など商品の機能性が大きく変わります。試作して性能チェック・改良を繰り返し5年かけて製品にするものもあります」と答える。

「そんなに長い期間がかかるとは驚きです。どんな時にやりがいを感じますか」と、チャンさん。「試行錯誤で苦しむこともあります。しかし、アイデアが湧いて止まらないときは楽しいですし、最終的に0Kが出たときはそれまでの苦労が吹き飛ぶほどうれしいですよ」と、池田さんは答える。会社の強みである「高い技術力」「オーダーメイドのものづくり」が、社員のやりがいに直結していることがわかった。

ひとつの目標に社員が力を合わせる

留学生3名は全員、日本での就職を考えている。ここからは片谷社長を交え、企業文化や戦略、働き方について質問した。

フォンさん: 「言語や文化の違いはネックになりますか。私はサービス業のアルバイトで、親切にしていたつもりなのに相手が冷たい態度になり、不安になったことがあります」

片谷社長: 「当社は外国人の正社員採用もしています。しかし外国人に限らず、意図が伝わっていないことは、日本人同士でもよくあります。お互いが黙っているといつまでたってもモヤモヤを抱えたままになります。わからないことはその場で理由を聞けるといいですね」

宮﨑さん: 「ものづくりは共同作業。社員みんなが『優れた製品を作ろう」というひとつの目標に向かって進んでいます。技術者とぶつかることもありますが、目標が同じなので人間関係に影響することはまずありません」

チャンさん: 「私は自身が成長できる会社で働きたいと思っています。製造工場は、職人さんが手足となり動くというイメージがありましたが、特発三協さんは『社員は頭脳と考えている』と聞きました。なぜ、そのように考えているのですか」

片谷社長: 「仮説~試作~検証というステップの中で、早さ・正確さ・コスト抑制を考えるために必要なのが『頭脳』。考えながら作業を進めるという経験の蓄積が成長につながります。顧客が求める製品を生み出すためにも、やはり頭脳は必要です」

ニューさん: 「日本で10年ほど働き、その後は母国で起業を考えています」
池田さん:「ものづくりで起業したいなら、現場では数字が大切。設計図面を理解したり寸法を測ったりするからです。目の前にある数字を受け止め、製造に活かすという素直さが大切です」

片谷社長: 「経営の視点をもつには、キャッシュフローと呼ばれるお金の流れを理解しておきたいですね。ものやサービスを売ることでどれだけの金額を生み出せるか、そのお金をどう使えば利益を増やすことができるか。考えながら働くことをおすすめします」

訪問後、3人の留学生は口々に「ベトナムでは50年も続く企業はなかなか多くありません。日本の企業のものづくりの強さがわかりました」と興奮しきりだった。

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