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抱月工業株式会社

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「楽しくなければ仕事じゃない」月曜の朝に行きたくなる会社・抱月工業株式会社を訪問

「生きがいを感じて、楽しく働くことが大事」、そんな価値観をもつ大久保尚容社長が率いる抱月工業株式会社を学生たちが訪問。経営方針と仕事について質問が相次ぎ、その背景にある社長の哲学を聞いた。

インタビュイー

大久保尚容

大久保尚容 抱月工業株式会社 代表取締役

1968年大阪府豊中市出身。高校卒業後、PC専門学校に進学、企業でシステム関連の仕事に従事後、抱月工業株式会社入社。2009年より現職。

弓指利武

弓指利武 抱月工業株式会社 執行役員CHRO 経営戦略室長

※肩書・プロフィールは取材当時のもの


未来型の工場、経営者に質問!

1万平方メートルの広い敷地にあるのは、鉄を切断・加工する抱月工業株式会社の京都工場だ。本社は交野市にあり、同工場は2023年2月に稼働を開始。「生産自動化」工場と「未来型ものづくり」ラボ、カフェのようなおしゃれな事務棟がある。

事務棟にある暖炉を囲み、座談会は、なごやかな雰囲気で始まった。

学生: 大久保社長が、経営をする上で大切にしていることはなんですか?

大久保社長: 僕は2代目ですが、社長に就任するときに「楽しくなければ仕事じゃない。働く人たちが月曜の朝に行きたくなる会社に作りかえよう」と決めました。そうじゃないと会社も続きません。会社のすべてにそんな思いを行き届かせるように努力しています。

学生: 昼夜にロボットが稼働する工場を見学して、驚きました。AIが発達した時代に人ができることは何でしょうか?

弓指さん: 人間の強みは、どこに問題があるのかを発見できることです。たとえば、地震が怖いから建物を考え直そうとするときの、最初の一歩は「この状態は怖い」と察知して始まります。察知は人間のもつ力です。ロボットにはない「気づく」「感じる」といった能力は、圧倒的に人間のほうが長けています。「この部屋にこんな絵をかけたらすてきになるな」といった芸術的センスも、人間のもつ力ですね。

ラボでは、ロボットによる溶接や穴あけなどの加工を研究中。「このアームロボットは1千万円ぐらいかけて導入しました。社内にあれば社員が気軽に研究できるでしょう?」と大久保社長。

学生: 応募資格が全学部学科と幅広いのはなぜですか?

大久保社長: 大事なのは興味とやる気。必要なことはすべて入社後に学べます。私自身も大学は出ていませんので、学歴は重視していません。

学生: 抱月工業には、どんな人が向いていますか?

弓指さん: まず人事担当の私からお答えしますと、仕事を選ぶときに「誰と働くか」は大事です。大久保社長は事業も工場拡大も、「おもしろそう」と感じる方向に必ず舵を切る。その感性に惹かれて私も転職しましたし、正解でした。抱月工業に向くのは、大久保社長の価値観に共感できる人ですね。

目指せ公式キャラ!奮闘中のホウちゃんをよろしくお願いします。

大久保社長: うちの会社では、個性的な人が多く働いてくれているのがうれしいです。経歴はさまざまで、アメリカで学生時代を過ごした人もいれば、建築を学んだ人もいる。「この会社でおもしろいことをしたい」と感じてくれる人と、一緒に働きたいですね。

学生: 鉄鋼業という業界の将来性について、どのようにとらえていますか?

大久保社長: 鉄鋼業は未来ある仕事です。安価で丈夫な素材である鉄は、リサイクルできるSDGsの優等生でもあります。より成長できる業界だと私はとらえています。ただ現状、日本の鉄鋼業では、多くの会社で働く環境が整っていないため、魅力が伝わっていないことが課題です。それができて初めて世界でのビジネス展開に踏み出せるので、いまが勝負と思っています。

楽しく働いて、業績を上げる

学生たちの座談会で、大久保社長の感性の一端は伝わっただろうか。なぜ、これほどまでに大久保社長は働き手の環境を整えることを目指すのか? その背景には実体験があった。

抱月工業は創業76年、顧客には大手機械メーカーが並ぶ。大久保社長はもともと別会社で働いていたが、ある朝、通勤電車で「目が死んでいる」人が多いのに気づく。人がよく生きていくには「生きがいを感じて楽しく働くことが大事だ!」と実感した。

父親の要請で会社に戻り、他の社員に交じって働いたが、現状では社員のやりがいが生まれないと体感。社長に就任、目指したのは「月曜の朝に行きたくなる会社」づくりだ。

具体的には力仕事は工場の自動ライン強化で機械にまかせる。人間が担うのは、「ロボットをつくり動かす、知識・技術労働者になること」だ。人への投資も強化した。

環境が整った結果、生産性は上がった。若手も増え、社員の平均年齢は30代前半だ。この夏には営業拠点を広げる。「目標は売上100億円企業です」。楽しく働いて、業績を上げる。大久保社長の未来は可能性にあふれている。

工場では巨大なファイバーレーザーが静かに動き、6mもある大きな鋼板を自動切断していく。「夜中に15トンの鋼板を切断できます。指示を出しておけば、翌朝にはできています」と大久保社長。

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