18歳~30代のための働くについて考えるWebマガジン

株式会社マツヤスーパー

株式会社マツヤスーパー

食のトレンドをいち早く反映!スーパーマーケットの花形職種「バイヤー」に迫る!

京都・滋賀に8店舗を展開する「マツヤスーパー」。1店舗あたりの年間平均売上高は約26.4億円と全国平均のほぼ倍額を誇る、実力派スーパーマーケットだ。売上の高さの秘密を探るべく、学生2名が、元バイヤーの高谷歩さんにインタビューをおこなった。

インタビュアー

髙野珠由

髙野珠由 立命館大学食マネジメント学部食マネジメント学科3年生

水崎葵

水崎葵 立命館大学食マネジメント学部食マネジメント学科3年生

インタビュイー

高谷歩

高谷歩

バイヤーを16年経験。現在は人事総務部 課長。

※肩書・プロフィールは取材当時のもの


――バイヤーとはどんな仕事をする職種なのですか?
 
メーカーから仕入れる商品を決めたり、プライベートブランド商品をメーカーと共同開発したりする仕事です。どの商品をどの店舗でどれだけの数を仕入れるか、売り場をどう構成するかが、売上に直結します。

お客さまに喜ばれる商品を選び、その魅力をいかに伝えるかが、バイヤーの腕の見せどころですね。

 
――食のトレンドをキャッチするため、情報収集を常にされているのでは?
 
テレビやらSNSをチェックするほか、メーカーが商品を発表する合同展示会に足を運びます。大手メーカーは多額の資金を注ぎ、食の流行をリサーチし、商品に反映させています。需要予測や分析、アピール方法を聞くと勉強になりますね。

とはいえ、一番役立つのはお客さまの声です。売り場に立つと「こんな商品を探している」「テレビで見たんだけど」と、よく声をかけられるんですよ。探している=「必ず欲しいもの」なので、要望が明確です。リクエストを書面に書いて投函される「お客さまの声」も参考にしています。
 
――商品を仕入れるにあたり、選沢の基準は何ですか?
 
マツヤスーバーはお客さまの「普段の食生活を支える」店舗づくりに徹しています。毎日の食事や生活に必要な日用雑貨を揃える。これだけです。

1万円のワインがどんなに美味しくても、多くの人にとっては日常の飲み物ではないので置きません。ただ、卵や牛乳など生活に欠かせない商品は、夜遅くでも欠品させないようにしています。
 
――バイヤーのやりがいは何ですか?

やはり、自分が選んだ商品が売れることです。横に並べていた商品を縦にするなど、ちょっとした発想次第ですぐに売上が変化します。

他の業種だと売上につながるまで時間がかかることがありますが、スーパーマーケットはその日のうちに手応えがわかるのがおもしろいところですね。
 
――コンビニやドラッグストアにも、スーパーマーケットで売られているのと同じ食料品や日用雑貨が並んでいます。
 
確かにそうですね。でも、例え同じ商品が並んでいても、おかずを買いたいときには、スーパーマーケットに行きます。消費者は用途によって行く場所を変えているんです。
 
――ネットスーパーは、重いものやかさばるものを玄関まで配達してくれる便利なサービスです。競合として意識されていますか?

 
鋭い!ネットスーパーは競合です。そこで、店舗型スーパーマーケットの強みとなるのが、生鮮食品です。肉の脂身の多さ、魚の鮮度、野菜の大きさなどは、実際に目で見ないとわかりません。

人間の欲求のひとつである「自分で選び、買うという楽しさ」が味わえるのが店舗型の良さなのです。
 
――では、他のスーパーマーケットとの差別化は?
 
スーパーマーケットはお客さまの「なじみになれるかどうか」が生命線。「欲しいものが、当たり前に買えるお店」と認識し続けてもらう必要があります。お客さまにとっての「当たり前」を維持するため、ストレスのない店舗づくりとエンタメ性の両立をはかっています。

現在、マツヤスーパー各店舗が地元のお客さまのライフスタイルの一部を担うようになってきたのは、商品構成や陳列方法などにこだわってきた結果です。

陳列棚を工夫し購買意欲を刺激

売れ行きが良いペットボトルの棚は斜め角度になっており、ドリンクを手に取ると奥のドリンクがすっと手前に移動する。スパイス瓶や缶詰が置かれた平たい棚では、奥から商品をまとめて引き出せる「前出し棒」が活躍。さまざまな仕掛けで省力を実現している。

「商品が手前にあると手にとってもらいやすい。また商品名を正面に見せることで、視認性をアップさせています。快適に買い物をしていただくための工夫です」と高谷さん。

「鍋にしませんか」売り場でメニュー提案

「休日、鍋にしようと他店をのぞいたところ、白ねぎが見当たらなかった。鍋に欠かせない具材は、極力まとめ買いできた方が便利」 と高谷さん。その経験から、青果コーナーには白ねぎ、白菜、えのきなど鍋食材が同じ場所に置かれていた。少人数家族のためにカット野菜を揃えているのもポイントだ。

多くのお客さんはスーパーマーケットの売り場を歩きながら献立を考えるが、ここは「鍋にしようか」と決め手を作るゾーンでもある。

豊富なラインナップでエンタメ性を演出

ずらりと並ぶカレールゥとレトルトカレーの棚は、商品数が多いのに見やすく、賑わい感があるのにきゅうくつではない。どれにしようかと比較する楽しさがある。本文で触れた「ストレスのない店舗づくり」と「エンタメ性」の一例だ。ちなみに取材日は全品10%オフの特売デー。

マツヤスーパーの特売では、特定のメーカーの商品だけが安くなるのではなく、そのコーナーが全品10%オフになるのが特徴。お客さまの「選ぶ楽しさ」を重視する。

「売れ筋」以外の仕入れも戦略の一つ

パスタ売場で見つけた、こんにゃく芋由来の成分が入ったスパゲティ。「糖質カットの商品がほしい」「健康志向のパスタを探している」というお客さまの声を反映して並べられるようになった。飛ぶように売れるわけではないものの、ヘルシー志向の人にとっては他に代替がきかない、"指名買い"の商品だ。

「必要と思うお客さまがいる限り、ニッチな商品も仕入れています。マツヤスーパーに行けば確実に買えるという安心感につながれば」。