インタビュアー
木﨑 楓子 京都芸術デザイン 専門学校 2年生
二之宮 万葉 京都芸術デザイン 専門学校 2年生
インタビュイー
岩屋 圭史 コメダ珈琲店 神戸名谷店 店長
三浦 有喜 クライアント事業部 主任
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
明確なゴールを目指して、工夫するのが楽しい
ー私は「デザイン」を仕事にしたいと思っています。具体的にパッケージデザインとは、どんなお仕事なのですか?
三浦: 私は大手ドーナツショップの商品に使われる紙容器を手掛けています。通常、分業で進めることが多いですが、私はお客さまと直接お話をする営業業務、容器の設計、サンプル作成、製品のコスト計算や生産管理、納品までをほぼ一人で担当します。デザインの質はもちろん、ご要望のニュアンスを汲み取ってその場で修正案を提案できること、すぐに製品づくりに反映できるスピード感が、お客さまに喜ばれています。
ー授業ではグループワークで、お店の「のれん」をデザインしました。メンバーの意見を調整することに苦心しました。
三浦: パッケージデザインは「どんなお客さまが、何を求めているか」がスタートでもあり、ゴールでもあります。目的が明確であれば、意見を交換することでデザインがブラッシュアップされます。パッケージデザインは、自分の個性を見せつけることが目的ではありません。そのため私は、自分の趣味や好みを作品に反映しすぎないように心がけています。
岩屋: 私が勤務する店舗でも、みんなが「もっといいお店にしよう」と熱い想いを持っているぶん、多少の衝突はあります。その中で、私は店長として、なるべく「その方がいいと思うこと」を実現できることを大切にしています。たとえば、「POPでおすすめ商品をアピールしたい」と積極的に提案したパートさんにその作成をおまかせする、など。みんなに気持ちよく働いてもらえる環境を整えることが、店長の役割だと思っています。
しんどくても、温かい仲間の存在があれば乗り越えられる
ーバイトをしているコーヒー店で、接客が好きになりました。しかし接客の仕事だと、土日が休めないのはイヤだな、と躊躇しています。好きなことを仕事にするのは難しいですか?
岩屋: その悩みはよくわかります。うちの店では私がシフトを組むため、自分が友人と遊びたい土日はシフトを入れなければいい。しかし私はむしろ、お客さまが多く来店される土日に働くのが好きになりました。予想外でした(笑)。でも、思い返すと、そもそも私は、いい接客でお客さまに喜んでいただきたいという想いから、この仕事を決めました。土日は、たくさんの人とお話ができるチャンスなので、楽しいです。ちなみに、休みの日は、趣味のカフェ巡りをしています。同業者ならではの目線で、お店と人間観察をするのも楽しいですよ。
三浦: 私の場合は、もともとパッケージデザインが好きだったわけではありません。専門学校で漫画を学びましたが、漫画家になる夢を諦めて出会ったのがサンパックでした。入社時はデザインの知識がゼロでしたが、仕事を進めるうちに紙素材の特性やソフトの使い方を覚えました。仕事を続けるうちにだんだん「向いているのかな、好きだな」と思えるように。
ー仕事でしんどいことと、「よかったな」と思うことは?
岩屋: 接客業なので、お客さまから「ありがとう」と感謝の言葉をいただけるのはうれしいです。しかし私は挫折も経験してきました。そんなときに支えてくれたのは、上司や他店舗の店長、アルバイトさんといった仲間たちの励ましです。そのおかげで失敗を乗り越えられて、メンタルも強くなりました。
三浦: 「納品までの時間がない」というしんどい場面では、上司や仲間に助けられてピンチを乗り越えてきました。今では、デザインについて意見を言えるように成長しました。うれしい瞬間は、店舗で自分がデザインした作品を見かけたとき。やっぱり、好きなことを仕事にすると、がんばれるし楽しい。誇らしい気持ちになり、もっとがんばろうと思えます。