18歳~30代のための働くについて考えるWebマガジン

株式会社dbqp.co

株式会社dbqp.co

~おじおば人生の学びvol.03~「起業したのは『困りごとの解決のため』月収15万円だった自分が、100億円企業を目指すまで」株式会社dbqp.co 川村弘樹社長に聞いた

失敗してもいい、挑戦が大事。理美容業界の改革に取り組む 皆さん、若いうちはおおいに悩んで、いろいろなことに挑戦してください。失敗してもいいのです。「うまくいかなかった経験」も、すべて自分の財産になるからです。挑戦するうち […]

インタビュイー

川村 弘樹

川村 弘樹 株式会社dbqp.co 代表取締役COO

1998年、大阪・高津理容美容専門学校卒。大手理容室時代は大阪メンズカット部門優勝など、トップスタイリストとして活躍、年間3400人もの男性を施術した。共同代表の山下雄也さんと起業し、2012年より現職。43歳。

※肩書・プロフィールは取材当時のもの


失敗してもいい、挑戦が大事。理美容業界の改革に取り組む

皆さん、若いうちはおおいに悩んで、いろいろなことに挑戦してください。失敗してもいいのです。「うまくいかなかった経験」も、すべて自分の財産になるからです。挑戦するうちに、「自分はこれが合う」が見えてきますし、挑戦した分、世界も教養も深まります。

 僕が今、挑戦しているのは、理客業界の改革です。11年前に完全予約制サロン『DEAR BARBER』を経営する会社を立ち上げました。私どもの店を利用してくださるお客さまは「もっとカッコよくなりたいけど、どうおしゃれしたらいいか方法がわからない」という困りごとを抱えています。それに応えるために高度なカット技術はもちろん、ヘッドスパや男性用化粧品の開発、オーダースーツなど、髪から服まで総合的にプロデュース。大人の男性がゆったりくつろげる理容室で、お客さまから「こんなお店を求めていた」と評判を呼び、おかげさまで大阪では5店舗を展開中です。

なぜ理容業界を改革しようと考えたのか? その経緯をお話しします。生家は3代続く理容室で、僕も18歳で国家資格を取り、大阪の大手理容室に就職しました。ところが月300時間働いても給与はたった15万円。働き詰めなのに生活は苦しく、子どもの卒業式すら出席できませんでした。ただ、がむしゃらに働いて理容師の仕事は本当におもしろいこともわかった。自分の技術が向上し、相手に褒められると、喜びとやりがいがあるのです。

今、理容室は転換期を迎えています。店舗数はコンビニより多いのに個人の零細経営がほとんどで、利益を出せずに廃業も増え、理容師の数もこの30年で15万人に半減しています。美容師との違いは、理容師だけがシェービング(顔そり)ができる点にありますが、美容師の半分しかいない。美容室に客が流れ、やる気のある理容師が辞めていく現実に、もどかしさがありました。

お客さまと、理容師。双方の悩みを起業で解決したい

30代で、同期の山下雄也とアメリカのラスベガスに視察に行きました。ところが参考にしたい理容室はなく、街には美容サロンがある程度。あまりにも元気がない理容室のありようが残念でたまらず、自分達で世界で通用する新しい理容室を作る決意をしたのです。

目指したのはお客さまに喜ばれ、理容師もいわゆる「普通の」生活と働き方ができる理容室です。理容だけでは価格競争に巻き込まれるため、男性化粧品や洋服の付加価値をつけるビジネスを考案。組織化することで、安定経営を目指しました。どうおしゃれしたらいいかわからない人にとって、理容室で服が買えるなら、毎月髪を切るついでにファッションの相談ができる。なお、我が社の理容師の平均年収は大手企業並みの4~500万円で、有給休暇など社会保障も完備しています。

今、私たちは一緒に理容業界の未来を作る仲間を募っています。目標売上高は100億円。とはいえ金額が目標ではなく、規模を広げることでお客さまも働く人も笑顔になれる、皆が憧れる業界にしていきたいのです。理容師には男性が多いですが、女性も歓迎です。理容師養成校『バーバープライド』には熱心な学生が集まっています。

人生は長いです。学んだことを活かして働き、僕は50歳からはその経験を伝え、人を育てる側にまわりたいと思います。皆さんもぜひ、自分らしい生き方を探していってください。

川村さんへの一問一答

学生: 起業のコツはありますか。
川村: 「自分がやりたいこと」よりも、「自分がやれること」「求められること」が大事です。この3つを重ねて、「ないと困る」といわれるビジネスを生み出していきましょう。

学生: 理容師養成校『バーバープライド』では何を学ぶのですか。
川村: 技術面はもちろん、社会人として知っておきたいことなど幅広い教養を身に付けます。技と道を併せ持つ、人間力のある職人を育てるのが狙いです。

学生: 初任給は低くてもいいので、それから給与を上げていきたいです。給与はどうやったら上がるのですか?
川村: 給与は売上から原価を引いた粗利益から支払われます。家賃、水道光熟費などの経費も差し引くため、粗利の38%が適正な給与と言われています。僕は、健全経営で利益を上げることが、従業員のみなさんの給与を増やす近道だと考えています。

学生: 会社で力を入れていることは?
川村: 教育です。ビジネスで大切なのは人。年間の教育予算を決めて、外部講師から学ぶ機会も設けています。その日は店を閉めるので売上がなくなりますが、長い目で見ることが必要なのです。

学生: 理容師に向く人は?
川村: 人に言われたことを素直にやれる人が伸びます。素直に取り組む人は、確実に技術は上がります。大切なのは、相手に誠実に接する姿勢です。もし「理容師って未来がある」「将来、起業したい」と思う人はぜひ見学にいらしてください。