製造系 ニッチトップの強み手に職がつく仕事 株式会社 特発三協製作所
こつこつと真面目に。その社風が、高い技術力の根拠です
インタビュイー
伊藤陽
大阪産業大学工学部出身。会社見学で、360度から加工が可能なマルチフォーミングマシンをいち早く導入し、独自のものづくりをしている同社の先見性に感銘を受け、入社した。
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
特発三協製作所で扱うばねは約2千種類。全国の企業から受注を受け、オーダーメイドが9割以上を占める。大手メーカーの製品の部品で国内有数のシェアを獲得するなど、価格競争に巻き込まれない企業体質だ。
ミリ以下の制度を追求「ひとつの道を極める、奥深さがあります」
現在、プレス・チームに所属する伊藤さん。最初は「仕事なんて、すぐ覚えられる」と甘く見ていた。しかしプレスでの加工方法は多種多様で、材料によっても、微妙な加減でも狂いが生じる。その差わずかコンマ何ミリ。勘やコツだけでなく、論理的に考えることも必要で、「全部わかるには何十年もかかる、奥深い仕事です」。
伊藤さんは失敗も含めて毎日メモを取り、ノウハウを蓄積中だ。すぐには会得できない技術だけに、まずは与えられた仕事をこつこつと、真面目に取り組む。その積み上げが3年後に花開くのだ。求められているのは、真摯に取り組む姿勢のある人材だ。
「長年培ってきた技術力があるからこそ、国内外で支持され、100年先まで需要がある。そのすごさを実感します。」
オンリーワンの技術力を100年後の次世代へ
100年先まで需要がある、と伊藤さんが感じている理由について、補足しておきたい。
機械部品である薄板ばねが何十年と量産される定番商品に採用されると、まったく同じ製品を生産し続ける必要がある。競合他社に比較して、特発三協にはベテランと若手が混在し、社員構成のバランスが優れているのが特徴だ。50~60代の社員が主で構成された企業は、技術の伝承がなされず、10年後に供給が難しくなる危険がある。順調な世代交代ができているかどうかは、部品メーカーの強みのひとつなのだ。
利益をはじめ、情報をすべて社員にオープンにするのも、同社の特徴だ。経費や時間のロス、うまくいったときの受注の伸びまでわかるのがおもしろいと伊藤さんは話す。
「論理や分析ができ、いずれは品質保証も担える、マルチな技術者になるのが目標です」。
「スタイリッシュに働く」が同社のこだわり。整然とした工場はもちろん、スタッフの働く姿もモデル並みにバッチリ決まっている。
何でも聞けて、相談できる、チームワークのよさがある。スノーボードやマラソン、誕生月の食事会など、会社のイベントも多数。女性社員も多く、和気あいあいとした雰囲気だ。