インタビュイー
村山 明 研削のエキスパート
入社18年。「『こう作ったらより良い製品になるのでは』といった提案を、クライアントから求められることも多いですね」
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
「ミクロン」という単位の世界をのぞいてみたことがあるだろうか? 1ミクロンは、1ミリの1000分の1。とても目視では確認できない領域だ。そんな究極の世界に魅了された熱きエンジニア集団が大東技研だ。
「初めて見たとき、きれいでハイテクで、工場というよりまるで研究所。驚きました」。18年前、大東技研を訪れた初印象について、こう話すのは同社の村山明さん。18歳で入社して以来、研削(けんさく)一筋、この道を極めてきた。
研削とは、工作物の表面を微小に削り取りながら高精度に仕上げる工作方法だ。実はこの技術を用いることで超高精度な加工部品を生み出すことができる。大東技研の作った部品は、あらゆる電子機器に必要な半導体を作る機械に使用される。多品種小ロットの精密部品製造を専門とする大東技研の強みは、研削をはじめ放電、切削の3技術が揃っていることだ。
学生のころから「モノづくりが好きだった」という村山さん。図面通りに仕上げるだけで精一杯だった時代もあるが、機械の扱い方や手仕上げでの加工方法などていねいな研修や指導を受け、今や顧客の要望以上の提案を出せる、エンジニアとして活躍している。
多種多様な要望に迅速かつ的確に応えるため、大東技研では複数の最先端設備を導入し、同時にそれらを使いこなす社員の技術力を磨いてきた。工作機械のデジタル化が進み、機械さえあれば高精度なものができると思われがち。しかし、実際は人にしかできない技術があると同社は証明している。
高い精度を要求される難しい案件も少なくないが、村山さんは「難しい仕事は、できた時の達成感がすごいから、おもしろい」と言う。当たり前と思って納品した研削技術が海外の顧客から 絶賛されたり、他社の研削と比較してその優位性に気づいたり、大東技研にいるからこそできる仕事があると感じている。
大東技研には、世界に必要とされるオーダーメイドのモノづくりを担うプロフェッショナルが、たしかに存在する。
★研削とは、研削道具を操り、微小に削りながら高精度に仕上げること。
研削とは、砥石と呼ばれる研削工具を高速回転させて、工作物の表面を少しずつ削り取り、表面をなめらかに仕上げる工作法。50種類以上の砥石を、研削したい形に応じて使い分ける。ただ、削りたい形そのままの砥石がない場合、砥石の縁をNC(数値制御)で思い通りの形状に成形する。また、NC(数値制御)通りに砥石を移動することで、データ通りに研削可能だ。しかし、すべてが機械で制御できるわけではない。研削中の温度は1000度を超えるため、「研削焼け」や「割れ」などのトラブルを防ぐのは、技術者の経験によるところが大きい。
ミクロン単位の製品づくりは、材料の成分、加工によって影響を受ける。工場内は、室温の変化や床の構造などへの配慮も徹底している。
機械に数字を入れれば思い通りに削れるわけではない。人間による微調整がミクロン単位の精度の実現に不可欠だ。