製造系 業界でオンリーワンオン/オフがくっきり 株式会社ユーシン精機
「百年企業」になるための6つの戦略
インタビュイー
大川始 総務部
兵庫県出身。大学卒業後、食品メーカー等を経て、ユーシン精機に転職。現在、総務部で採用・研修企画をメインに担当。
※肩書・プロフィールは取材当時のもの
ユーシン精機は1973年に自動機の設計・製造を手掛ける企業として京都・東山で設立。その後、プラスチックの需要増加に伴い、本格的に「射出成型品取出ロボット」の開発・製造に着手した。1989年には業界初となるサーボモータ駆動の取出ロボットを発売し、現在のスタンダードを創り出す等この分野での世界的リーディングカンパニーとなった。知る人ぞ知るB to B企業で、1999年には東証一部に上場、年商200億円、自己資本比率85.3%の優良企業だ。設立50年を迎えようとしている今、百年企業を目指す6つの戦略を見ていこう。
1. 売り上げの6割が海外事業
前提としてユーシン精機の主力商品、「射出成型品取出ロボット」とはどういうものだろうか。
プラスチック製品を作るとき、型取りされたプラスチックは高温のうちに取り出す必要がある。そこで活躍するのが取出ロボットだ。かつて人が行なっていた危険な作業を自動化する画期的な製品で、瞬く間に世界中にシェアを広げた。米国法人を設立、アジアにも販路を広げ、今は会社全体の売り上げの6割が海外からだ。
2. 開発型企業として研究開発に積極的
また最近では、取出ロボットで培った技術を活用し、新たな顧客を開拓する取り組みも始まっている。
その一例が2020年に発売したパレタイジングロボット。主に物流の現場で使用されるロボットで、省スペースかつレイアウトの自由度の高さが特徴だ。ユーシン精機は開発型企業として、次の「金の卵」の候補を創り出すための研究開発に積極的だ。
3. コーポレート・アイデンティティ(CI)を策定
これらの事業の推進とともに、企業の継続と発展を支えるのは人の信用だ。
そこで社員の心を束ねる施策が重要となる。ユーシン精機の社名の由来は「有信」で、「信用の有る会社になりたい」という創業者の思いが込められている。その原点をもとに2020年にコーポレート・アイデンティティ(CI)「まず、想いにとどく」を策定した。
企業なので利益追求は必須だが、お客様が求めている本質を柔軟に粘り強く考え、社内外と連携し、期待にこたえてカタチにする――。これがユーシン精機の大事にしている理念だ。
4. 人財育成に力をいれる
これらの理念や想いをカタチにするために、人財育成にも余念がない。
業務に関する OJT 研修に加え、自社の決算資料を用いた「ビジネス数字力研修」や、調理を通して段取り力・チームワークの大切さを学ぶ「クッキング研修」といったユニークな研修もこれまで実施してきた。
さらに、対象資格を取得した際に、最大20万円の奨励金がもらえる制度や、通信教育の最大半額を補助する制度もあり、自己研鑽へのバックアップも充実している。
5. 社員の労働環境を見直す
また、ユーシン精機が近年最も力を入れているのが働き方支援だ。
2017年に専属の保健師を採用した。また、社員がより働きやすい環境づくりを目指して、「働き方支援チーム」を発足。総務・人事部門が他部署と連携、ファシリティ・制度を逐一見直している。その取り組みが認められて、2018年に日本経済団体連合会(経団連)が発行する「働き方改革事例集」掲載企業の1社に選ばれた。
6. 新しい社屋と工場
約50年前に設立したユーシン精機は、2016年、満を期して新社屋に移転した。新しい社屋と工場は、次の50年のための本拠地。ここで新たな戦略を練り、さらなる発展を目指す。
ユーシン精機では、理系・文系ともに、次の50年を担う人財を求めている。
ぜひ注目してほしい有力な企業だ。